ある職場を退職する時のことです。
中途採用で同期入社した年上の契約社員の女性に次の転職先は決まったのか、きかれました。
彼女にはまた、言いますと曖昧な返事をしました。
周囲の話によると、彼女のご親族には著名な方が多いらしく、その関係で就職、転職は全て縁故でできたそうです。また本人の話をきいていて、裕福なご家庭であることがうかがえました。
ただ、人当たりがきついような感じはありました。
例えば、お子さんの同級生が中学受験に合格した話題を同僚としているのが聞こえた時のことです。彼女のお子さんは中学受験はされていないはずなのですが、お子さんの同級生が私立中に合格したことが承服しかねるようでした。
すると、話をきいていた彼女と近い年頃のお子さんがいる同僚の「私立中学校に行っても退学して公立に転入してくる子もいるから、わからんて!」との返しに満足していた様子でした。
横で仕事をしていた私は、凄まじい会話だと思って聞いていました。
そんな彼女と二人で事務所にいる日がありました。仕事中でしたが突然「生きてても楽しくない」と言われて、絶句したことがありました。
彼女のことは仕事面しか知りませんが病気での欠勤はなく、他の同僚と比べて研修期間が終わっても彼女の要望で指導担当者がつきっきりであるな点などをみていて、かなり優遇されているのにと驚きました。
そして私の退職日が近づいた日、彼女がニヤニヤしながら「次、どうせ、決まってないんでしょう」と言ってきました。私は何も答えませんでした。

しばらくして、転職先の勤務終わりに寄った公共施設で彼女と再会しました。
すれ違う時に彼女だとわかり、何事もなかったように去ろうとしましたが、私だと気がついたようで声を掛けられました。
開口一番は、どこに勤めているんだでした。勿論、お元気でしたか?といった声掛けはありません。
県外であることを答えると、県外のどこだときいてきます。
勤務先最寄りの駅名をいうと、強張った表情になり黙り込みました。
ビジネス街にある駅だったからでしょう。
追及が止まっている時こそ逃げるチャンスと思い急いでいるのでと彼女と別れました。
駅名だけで、どこに勤めてるともなんとも言ってません。
しかし、彼女が予想していた勤務場所ではなかったのでしょう。
私が退職する前に「次、どうせ、決まってないんでしょう」と言った時、そしてこの再会の時も
私は何も答えませんでしたが、彼女一人で一喜一憂しているようでした。
今、振り返ると、他人が苦境にいると嬉しさがこみあげる、他人の不幸を自分の喜びの源にしているタイプではないかと思います。
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