「ユキテラ タカコ(仮名)の母です!!」①

「ユキテラ タカコ(仮名)の母です!!」シリーズ

資産家の同級生の家族についての話です。

お年玉が10万円

小学校の同級生で家族して我が家に嫌味を言ってくる一家がありました。仮にユキテラ家としましょう。ユキテラさんの家は地域で有名な資産家一族でした。冬休み明けの教室で当時小学校1年生だったユキテラさんの娘タカコさんがニタニタしながら私にお年玉が10万円だったと言ってきました。

10万円!! 小学生の私にしたらとてつもない金額のように思えました。

それから数年後、私が中学受験に失敗した時のことです。偶然、この母娘、弟の3人と出くわしました。すると低学年の弟ソウスケさんが私に駆け寄ってきて「落ちてんで、落ちてんで!」と嬉しそうにはやしたてましたが、ユキテラ夫人は私に謝罪することは当然ありませんでした。

きっかけ

その家族に嫌悪感はありましたがそれが一気にたかまった出来事があります。それは私が社会人の時に亡くなった父の葬儀でのことです。その時代は家族葬が一般的になる前だったので葬儀会館で行いました。

通夜も終わり、親族控室で親戚と打ち合わせしている時のことです。葬儀会館のスタッフが弔問客が来られているので、こちらにお連れしましたと言われました。

親戚も全員集まっており変だなと思い対応すると、ユキテラ夫人グループでした。
グループの構成は3人でユキテラ夫人、その娘タカコさん、夫人と同様マウント好きな社長夫人でした。

タカコさんとは同級生といっても小学校卒業以来、付き合いがなかったので驚きました。タカコさんと社長夫人は心配そうな表情を浮かべているのにユキテラ夫人は笑顔なのです。嬉しさが抑えられないといった表情でした。

お悔やみの言葉はなく、こちらとしては親しい付き合いをしてないのに親族控室にまで押しかけて来る行動に驚きました。そんなに様子を知りたくてしょうがなかったのでしょう。

後日、その親族控室で一緒だった人に弔い目的で来た感じの人ではなかったねと言われたのが記憶に残っています。そういう行動があってからますます警戒するようになりました。

ユキテラ夫人との再会

ユキテラ夫人は家業に従事されているので時間の拘束はなかったように思います。また、外部に働きに行くという選択は無かったみたいで、商店街の飲食店で同じ資産家のママ友と集まっては情報交換しているみたいでした。

そして、ユキテラ夫人の嫌味は私の学生時代だけでおさまりませんでした。私が未婚と知ると道で出会うと側に駆け寄ってきては「気楽でいいね~」とわざわざ言いに来る有様でした。

町内会で顔を合わすこともあるので何も言い返さず、その家族の姿を道で見かけたら道を変えるなどして避けるようにしていました。

それからは私も仕事が忙しいこともあり10年近く見かけることはありませんでしたが、最近、再会しました。

昼間、用事があり自宅前で自転車に乗ろうとしている時、前方に補助器具を使っているユキテラ夫人の姿を見かけました。

私を見つけると高慢な表情に切り替え、間を作ってから通行人にが振り返りそうな聞こえる大きな声で「ユキテラ タカコの母です!!」と夫人独特の名乗り方をしました。

話は逸れますが、町内会の会議でご主人名義の席に代理で出席し、自己紹介する場合も「タカテルです。」もしくは「ユキテラの妻です」とは言わず「ユキテラ ヒロマサ(ご主人の仮名)です」と名乗ります。

こういう名乗り方は一般的なのかどうかわかりませんが、そういう名乗り方ばかりするので、この再会でそういう名乗り方をされても不自然には感じませんでした。


なんだか時代劇ドラマ「水戸黄門」の印籠を見せる場面と似ています。娘の名を名乗ったら、私が恐れおののいて、水戸黄門の民衆みたいにひれ伏すことを本当に信じているようでした。

ユキテラ夫人の本拠地であるこの場所で、この行為をクスッと笑おうものならどんな仕返しをされるかわかりませんから、おかしいと思っても笑えません。

本題に戻りますが名乗りをした後、補助器具はいらないのではないかと思うスピードで私に駆け寄って来て、私の自転車の前にカゴをつかむかのように立ちはだかりました。

夫人の表情が笑顔ではなく、強張っていることから知らない人が見たら交通トラブルで私が注意されているようにも見えてしまいます。

夫人が駆け寄って来た後に私が「お世話になっています」と挨拶しても、その返事はなく、単刀直入に母の様子をきいてきました。

その尋ね方が「お母さんは、元気にされていますか?」といった具体的な質問ではなく、顎を斜め上にすると「お母さんは?」と様々な返答ができるようなきき方をしてきました。

母が健康であることを言うと眉間にシワがより忽ち不機嫌になり黙ってしまいました。彼女が期待していた返事ではなかったようです。

時間が迫っているから自転車を動かしたいことを伝えると、まだ話し足らない様子でした。そして、私が自転車を前進させようとすると急いでいるのかと泣きそうな表情で縋ってきました。

このまま立ち話を続けていたら、夫人がどんな攻撃をしてくるかわかりません。逃げ切ったほうが正解です。

しかし、再会当初の「ユキテラ タカコの母です!!」と言った時の威圧的な表情と縋ってきた時の表情の変化には驚きました。


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